/ Date: 2003/01/10(Fri) 23:21
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イントロ:
医療ミスが毎年32万件もイギリスで発生している。ミスのない、安心して受けられる医療にしていきたい。
そのためには「ミスを個人の過失としてみるのではなく、さまざまな要因がからみあったものとして捕らえ、医療システムを安全管理の面から見直す方向にいくべきだ
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イギリスでの旧来型の事例:
夜尿症を持つライアン少年は、検査入院して3日目に死亡した。家族が目にしたのは、体中に管の入ったライアンだった。敗血症になり脳死になったというのだ。病院からは、それ以上の説明はなく、誰も部屋に合いに来ない。説明をして欲しいという家族に、病院の反応はなかった。
責任を回避しようとする病院側の姿勢に家族は悲しみといきどおりを感じた。
家族は悲しみのあまり、息子を思い出す物を目にみえないところへ移し、一緒に住んでいた住まいも、息子を思い出して悲しくなるので転居した。
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アメリカ、フロリダ州、マーチン病院での事例:
手術室での話です。耳の手術のため麻酔を受けた7歳の少年ベン・コルグは、異常を示した。耳への局所麻酔を受けた直後から高血圧と頻脈が続き、心停止。一時は蘇生したものの、昏睡が続き、翌朝死亡したのだ。
この時の病院側の対応は上記のイギリスでの例とは異なっていた。危機管理責任者のMs.Doni
Haasや麻酔に関わった医師たちは、家族に容態をすぐ説明したし、葬儀にも出席した。麻酔に使用された物品も保管された。
地元の検死官は小児の異常反応と判断し、新聞にもそのように報道された。しかし、原因が不明だったので、病院の危機管理責任者、Ms.Doni
Haasは局所麻酔に使用された注射器に残っていた薬液を分析にだした。薬液量が少なかったので薬液の同定こそできなかったが、局所麻酔薬ではなかったことが判明した。さらに大学で残液を分析したところ、アドレナリンであることが同定できた。出血を抑えるために準備していたアドレナリンと局所麻酔薬を取り違えていたのだ。
事故から約1ケ月後、Ms.Doni Haasは家族に連絡をとった。家族は弁護士とともに病院に行った。Ms.Doni
Haasらは手術に準備していた2種類の薬が入れ替わっていた事実を率直に話し謝罪した。
弁護士は、このように、病院側が自ら過ちを認めて真実を伝えてくるのは例外的なことだ、と家族に話した。
病院では今後の再発防止策として、薬液を広口カップに移し変えることを禁止し、使用直前にバイアルやアンプルから、直接注射器に吸うことにした。
病院側はこの事例を学会で報告したり、講演会で繰り返し伝えたりした。この情報公開のおかげで、後日、救命例がでた。似たようなケースが他の病院で発生したのだ。講演内容を覚えていた職員が詳細を問い合わせ確認すると、薬品の取り違えが原因とわかり、適切な治療がほどこせたのだ。
この病院のスタッフは「ここで自分達がやっていることは普通のことと考えていたのだが、他の殆どの医療機関からみると、例外的な対応とみられている」「ほかの何万件ものケースは公開されていない、それが残念だ」と話す。
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医療以外の分野からの、安全管理手法の導入
医療従事者に悪意はない。仕事中にわざとミスをしようとする人はいない。それにもかかわらず、ミスは発生する。
1)NASAの安全管理対策
目的は、個人の責任追及ではなく、原因究明と予防策をたてること。
医療はかばいあう福祉事業ではない。医療は危険にあふれた産業分野である。
医療従事者はリスクの高い現場で働く労働者である。
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2)行動心理学者、ロバート・サイモンの手法
サイモンは、ヘリコプターの墜落事故を半分以下に減らした。
事例1:
1980年代、空軍ではヘリコプターの墜落事故が多発した。墜落事故を調査してみると、連絡ミスがめだった。
サイモンは連絡、連携訓練をヘリコプターのクルー達に行った。声にだして言う。再確認をする習慣をつける。
これらの訓練でコミュニケーションをとる意識の改革、意識の向上をしていった。結果は事故率の半減として現れた。
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事例2:
医療現場でも連絡の行き違いでミスが起こっていた。
事例:心停止の蘇生中にCaCl2(塩化カルシウム)とKCL(塩化カリウム)を間違って投与し、蘇生できなかった。指示をもう一度確認しておれば、蘇生できていたかもしれない場面だった。
事例3:
外来患者の誤診例。髄膜炎の併発を単純な感冒と決め付けていた医師。
3度目の来院時は救急車で、治療できずに死亡。
事後調査をすると、医師に髄膜炎ではないかと話しかけていた看護婦がいたのだが、「診断するのは医師だ。何を言う!」というけんまくで言われたことがあったため、この時も疑いながら、口を閉ざしていたのだった。
医師と(医師より密接に患者さんと接している)看護師は互いの言葉に耳を傾けること、コミュニケーション不足をなくすこと。
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3)「現代の医療は産業」という視点;患者を練習台にするな。訓練・シミュレーションの導入
ハイテク機器の導入事例:
ここでは内視鏡(腹腔鏡)下の手術が紹介された。
Key hole operation と紹介
内視鏡を使った手術は瞬く間に広がったが、初期には慣れていないための技術的ミスが多かった。
患者を練習台にするのではなく、小さな(靴)箱を使ったシミュレーション
さらにはパソコンを使ったデモ訓練が有効である、などの発言が続く。
麻酔科領域での実物大のシミュレーターを使った訓練も画面に紹介された。
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シミュレーターを使った訓練は航空産業や宇宙産業の分野で多用されています。
そこで、この場面の締めくくりは、以下のように続きます・・・・・
宇宙産業は安全性との闘いである。ミスの原因を明らかにすることは重要である。
ミスという経験は最高の教師であり、高価な代償を払って得た教訓である。
(これを共有し生かさない手はない)
(高価なシミュレーション技法を導入するメリットがある)
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(しかし、)医療界では内部報告が個人の責任追及になりやすい
事例:(内部報告を義務づけている病院で)雇用された看護師が、3回ミスをしたらクビと言われる。
ミスも1回目、2回目までは正直に報告したが、そのたびに矯正懲罰訓練の目にあう。
とうとう3回目のミスをおこした。この時には、事故には進展していなかったこともあり、自己嫌悪に陥りながらも、報告しなかった。
同僚の看護師に相談したところ、多くの同僚が、2度目までの報告で、3度目からは、ミスの報告を止めていた。
「このような、個人の責任を追及するシステムでは、(改善が進まず)病院を危険な場にしていく」
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提案と解決:
1)匿名での内部報告システム
自分の上司や病院ではなく、外部のNASAに直接報告を送る。
2)ミスを公開したほうが、隠すよりも事態を好転した事例:
ミスを隠す傾向は、訴訟費用を恐れての事が多い。
ミスは言いにくいものです。しかしミスを率直に伝えると、事態は好転することが多いのです。
事例:再び番組冒頭の、敗血症で死亡したライアン少年の話に戻る。
夜尿症の検査で死亡したライアン少年の両親は、子供の死亡から1年3ケ月後に病院側から呼ばれ、説明を聞くことができた。
親の気持ちは:謝ってほしい。 死亡した理由、原因を説明して欲しい。
(この気持ちは世界中、共通点があるのではないでしょうか)
遺族にとって、慰謝料の金額などは、大きな問題ではない、と続きます。
病院側は、率直に謝罪してきたのでした。 両親が考えていたよりも率直に。
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エピローグ:
遺族との話し合いは簡単ではありません。
治療される患者の立場に立ち、他の分野の安全対策を取り入れ、ミスの無い安全な医療の実現に向
かっていきましょう。
(最終画面に、医療ミスでなくなった人の墓が映し出されています)
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