はくざん 通信   第37号 2003.11.29   ホーム  はくざん通信の目次に戻る 


Q:脊柱管狭窄症について教えて 


「何でも聞いて 気になる病気」
成尾整形外科病院  副院長 浦門 操
( 熊本日日新聞 平成15 年10 月15 日 掲載)

Q:脊柱管狭窄症について教えて
 腰痛で腰が伸ばせなくなりました。腰からお尻、大腿(. だいたい)部、ふくらはぎにかけてしびれた感じがあります。痛くて20 〜 30 メートル歩いたら足がこわばって歩けなくなるほどです。正座もできず、下腹部の周辺に不快感があります。テレビで見た「脊柱管( せきちゅうかん) 狭窄(きょうさく)症」と症状が似ている気がします。どんな病気なのか、また治療法も教えてください。
( 熊本市、無職・男、74)

A:ヘルニアと並ぶ二大腰痛

 お尋ねの内容は、まさしく腰部脊柱管狭窄症の典型的な症状です。脊柱管( 馬尾神経を包む管)の後方を構成する関節や靭帯( じんたい)は、加齢により変性・肥厚します。また前方を構成する椎間板(ついかんばん) も突出してきます。この結果、脊柱管に収められている馬尾神経や神経根( 坐骨神経の根本) が慢性的に圧迫を受けて、腰部や下肢に痛みが出てきます。
 椎間板ヘルニアとともに腰痛の二大疾病の一つですが、ヘルニアと異なり、加齢とともに症状を訴える人が増加し、病状も進行する傾向があります。この病気には脊柱管の中心部で圧迫を受ける「中心型」( 馬尾型) と、脊柱管の外側で圧迫を受ける「外側型」、一本一本の神経が出て行く椎間孔というトンネルで圧迫を受ける「椎間孔型」の三タイプ( 後者二つは神経根型) があります。
 お尋ねの患者さんは中心型狭窄症でしょう。典型的な症状は、歩行とともに脚のこわばりやしびれ、脱力が出現します。歩けなくなるほどですが、しばらく休むとまた歩けるようになります。背筋を伸ばし歩けなくなっても自転車ならいくらでもこげるという特徴があり、排尿・排便障害を伴う場合もあります。外側型や椎間孔型では片方の脚に同じような症状が現れます。
 初期治療は、姿勢や日常生活の指導及び神経に効く薬を用います。温熱療法や運動療法、コルセット療法、神経ブロックなども有効ですが、加齢とともに症状は悪化してきます。多くは、腰の後ろ側から圧迫を取る手術を行うことになります。手術の成績はおおむね良好です。


脊柱管狭窄症

間欠跛行(かんけつはこう) が特徴的な症状
・三大兆候:腰痛、下肢痛、間欠跛行
・中高年に多い。 ・腰椎下部に多く見られる。
・腰を反らすと痛みが悪化し、前かがみになったりイスに掛けたりすると軽快する。
・歩いたり立ったりしなければ、無症状のことが多い。しかし神経が変性するといつもしびれている。

●どんな病気?

 「腰部脊柱管狭窄症」は、骨の老化によって、神経を通す空間(脊柱管)が狭くなり、神経を圧迫することで起こる病気です.
 「腰痛」のほかに、「歩いたり立ったりしているときに、痛みやしびれが生じる」という特徴的な症状が現れる病気です。

●どのような人に多いか

 脊柱管狭窄症のほとんどは、脊椎骨の老化が原因です。そのため、お年寄りに多く見られます。特に、若いころから腰に負担がかかる職業に携わってきた人や、逆にあまり筋肉を使わずにいたために筋力が低下している人が、なりやすい傾向があります。

●症状

 脊柱管狭窄症には、「腰、おしりから膝にかけて、体の後ろ側に痛みやしびれがある」という症状や、「しばらく立っていたり歩いていると、脚に鉛が入ったようにだるく、重くなり、時には痛くなる」という特徴的な症状があります。歩くうちに症状が強くなり、足が前に出せず、動けなくなりますが、しゃがんで少し休むと、症状が軽くなってまた歩けるようになります(間欠跛行といいます)。

●どのようにして起こるか

 椎間板が老化によって薄くなると、椎骨同士が直接ぶつかり合い、変形します。背骨(脊柱) の中央には、神経を通す「脊柱管」と呼ばれる空間がありますが、変形した椎骨は脊柱管のほうへ突出して、中に通っている神経を圧迫します。そのため、痛みやしびれなどの症状が起こるのです。

●間欠跛行はなぜ起こるか

 脊柱管には神経と血管が通っていて、神経はこの血管の血液によって酸素と栄養を供給されています。
この神経は脚の運動をつかさどっているため、脊柱管が狭くなって神経と血管が圧迫されると、十分な血液が神経に送られなくなり、「脚のしびれや重さ」という症状が現れます。
 歩くときは、腰のひねりが必要です。しかし、脊柱管が狭くなっていると、腰をひねったときに神経や血管が圧迫されてしまいます。ほかにも、お年寄りに多い反り過ぎの姿勢は、神経と血管を圧迫します。
 しゃがむなどして体を前かがみにすると、脊柱管への圧迫は緩みます。そのため、しばらく休むと血液の流れや神経の働きが元の状態に戻り、また歩くことができるようになるのです。

    体を後ろに反らすと血流が悪くなります     前かがみになると血流が良くなります


 ●治療方法●

@保存療法

● 1 〜 2 週間の安静
●薬物療法:消炎鎮痛薬の内服や外用
●コルセット
●神経ブロック注射


 薬には副作用のおそれもあるので、必ず医師の指示に従いましょう。コルセットは長期間使うと筋力が弱まるため、必要なときだけ使用することが大切です。痛みが治まらない場合は、障害された神経に麻酔薬を注入する神経ブロック注射を行うのも有効です。

A手術療法の適応

● 100 〜 200m 歩くと間欠跛行が生じる
●保存療法を1 〜 2 か月間続けたが効果がない
●痛み以外の神経障害や排尿障害などが長い間続く


 上記のような場合、手術療法を検討します。手術療法では、脊柱菅を狭くしている部分の骨を背中側から削り、神経への圧迫を取り除きます。手術の判断はタイミングが重要(遅くなると回復しにくいことがあります)なので、怖がらずに診察を受けるようにして下さい。


腰部脊柱管狭窄症の日常生活の注意

          

●反った姿勢にならない   
●歩くときは、杖や手押し車で少し前かがみに
●可能な人は、自転車を利用して下半身を鍛える


 神経を圧迫する反った姿勢を避け、少し前かがみになると、脊柱管への圧迫が緩んで、痛みやしびれ、間欠跛行が起こりにくい。痛みやしびれが軽い場合は、脚の筋力アップのために、自転車(あるいは筋力増強用の固定した状態の自転車)を少し前かがみでこぐとよいでしょう。


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