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AAOS からの引用・要約です

膝関節鏡 Knee Arthroscopy

膝に持続性の痛み、感染症、腫脹などがあるのであれば、膝関節鏡として知られる方法が、これらの問題を解決するのに役立つでしょう(訳者注:膝関節鏡は日本で開発され、実用化に成功し普及しました。関節鏡は検査・診断や治療に用いられています。画像診断はMRIやCTの進歩により、関節鏡による出番は減少し、鏡視下手術での治療適応が増えています)。

膝関節鏡は、関節鏡と呼ばれる鉛筆サイズの機器を利用して、小さな切り込みで、膝の中のクリアな視野を得られるため、整形外科医は膝の病気を診断したり、治療することが可能になります。 関節鏡は光ファイバーを含んでおり、膝のイメージを小さなカメラからテレビモニタまで送ります。 このテレビ画像は、整形外科医があなたの膝の内部を十分に検査し、問題の原因を決定することを可能にします。 検査の途中で、別の小さな切り込みから外科用器械を膝に挿入すれば、整形外科医は破損した組織を取り除いたり、修復することもできます。 現代あるいは現在行われている関節鏡検査は日本では1959年に、米国では1960年代の後半に最初に実行されました。 関節鏡の改善と、より高解像度のカメラの改良によって、この処置は膝の問題の正確な診断と適切な治療の両方で非常に効果的になりました。 

今日、関節鏡検査は最も一般的な整形外科処置の1つです。  

膝の問題の治療選択のため、関節鏡検査について調べはじめたばかりの方や、関節鏡を受けると決めた後の方も、整形外科医の関節鏡を受けるにあたって、この小冊子はこの価値ある処置について、もっと理解するのに役立つでしょう。

正常な膝はどのように働くのでしょう How the Normal Knee Works

膝は体の中で最も大きな関節であり、容易に傷つきやすい関節でもあります。 膝は大腿骨(大腿部)の下端、脛骨(けいこつ)の上端、および膝のキャップ(膝蓋骨)からなります(膝蓋骨は大腿部の終わりの溝の中で滑ります)。 4つの帯状組織(膝関節の外部)、前十字および後十字靱帯(膝関節の内部)、および内側・外側の側副靭帯が大腿骨と脛骨を接続し、関節の安定性をもたらします。 強力な大腿部の筋肉群は膝に力と可動性を与えます。 

大腿骨、脛骨、および膝蓋骨が接触する表面は、関節軟骨(骨と骨の衝撃を和らげ、骨同士が自由に滑るのを可能にするスムーズな物質)によってカバーされています。 半月状の丈夫な線維軟骨組織の半円形のリングは外側・内側半月板と呼ばれていますが、ショックアブソーバー(ショック吸収)であり、かつスタビライザー(安定させるもの)として働きます。  


膝関節を作る骨たちは、薄くて、滑らかな包みによっておおわれており、ここでは、膝を潤滑させ健康な人の膝の摩擦をほぼゼロにする特別な液体を分泌する薄い滑膜が並んでいます。

膝の問題 Knee Problems

通常、膝を構成する全てのパーツ(構成要素)は調和を持って互いに動作します。 しかし、スポーツ、仕事による損傷、関節炎や加齢による組織の脆弱化(ぜいじゃくか)などにより、擦(す)り切れや炎症を起こし、痛みや膝の機能低下を生じます 

関節鏡検査は、これらの問題の多くを診断し、治療するために使うことができます: 


  • 半月板軟骨の断裂。 
  • 骨や軟骨の遊離体(ゆるんだ破片)。 
  • 軟骨軟化症として知られている関節の軟骨の破損した接合面または軟化。 
  • リウマチ性または痛風性の関節炎などの滑膜の炎症。 
  • 膝蓋骨の異常なアライメント(並び具合、配列、配置など)、または不安定さ。 
  • 前十字靭帯や、後十字靱帯を含む靭帯断裂。 

関節鏡検査は、膝の鮮明な映像を供給することによって、整形外科医が他の再建手術方法が有益かどうかを決めるのを手助けすることもできます。 

あなたは関節鏡処置を受ける予定ですか? Is Arthroscopy for You?

あなたの「かかり付け医」は、あなたが関節鏡から利益を得ることができるかどうかを決定・評価できるように、あなたを整形外科医に紹介することができます(訳者注:アメリカでは家庭医が専門医に紹介することが多いため、このような表現になっています)。 

あなたがこの処置の候補者であるかもしれないという兆候は、膝の腫脹、持続性の痛み、感染、膝くずれ現象、膝折れ、膝への自信損失などを含みます。
定期的に医薬品を内服したり、膝サポート、物理療法などの他の治療方法をおこなっても、治療効果が殆どなかったり、改善が見られないならば、関節鏡を受けると役立つでしょう。 

ほとんどの関節鏡は20〜60歳の患者さんに実施されていますが、10歳より若い方や、80歳以上の方でもこの検査が役に立っています。 


整形外科的な膝の評価 The Orthopaedic Knee Evaluation

整形外科的な膝の評価は3つのコンポーネント(構成要素)から成っています: 
  • 既往歴 整形外科医は、あなたの全般的な健康状態の情報を集めて、徴候(自分自身で気づいている症状)について尋ねます。 
  • 身体検査・診察 膝の動きと安定性、筋力、および下肢全体のアライメントを評価します。 
  • レントゲン写真 膝の骨格を評価するため。 整形外科医は、膝の軟部組織についてより多くの情報を得るためにMRI検査を手配することがあります。 画像を造るために、MRIは磁気の音波を使います。 エックス線ではありません。 関節炎にかかっているかどうかを決定するために血液検査がなされることもあります。  

担当の整形外科医は、あなたと評価の結果を調べなおし、あなたの膝の問題をさらに診断したり、処置をするのに、膝関節鏡が最もよい方法であるかどうかを話し合うでしょう。 医薬品の投薬や他の外科的処置など、他の治療方法についても議論され、検討考慮されるでしょう。 

担当の整形外科医は、外科処置自身に関連する、また外科処置の後で起こる潜在的な膝関節鏡のリスクと合併症について説明するでしょう。 

外科手術の準備をする Preparing for Surgery

関節鏡を受けると決めたならば、あなたは手術の前に「かかりつけ医」のところで完全な身体検査を受けるように頼まれるかも知れません。あなたの健康状態を評価するためと、外科的処置を妨げる可能性のある状態を除外するためです(血液の出血や凝固に影響のある病気や薬物、心臓病、呼吸器の病気・他など)。

外科処置の前に、あなたが受けている投薬について、どのような医薬品についても担当の整形外科医に話して下さい。 あなたは、外科処置の前に、どの医薬品の内服をやめるべきであるかを知らせてもらえるでしょう。 

採血検査や心電図などのテストが、あなたの手続を計画する手助けに役立つよう、担当の整形外科医によって、指示されるかもしれません 

膝関節鏡による外科的処置 Your Arthroscopic Knee Surgery

ほとんどすべての膝関節鏡の外科処置は外来患者扱いでなされます(訳者注:日本では入院患者扱いでの検査・処置が主流です)。 あなたの病院または外科センターはあなたの外科処置のために具体的な詳細についてあなたに連絡するでしょう。通常、あなたは、外科処置の1、2時間前に病院に到着するように頼まれるでしょう。 あなたの外科処置の前の夜、夜半過ぎからは何も食べず、何も飲まないで下さい。  

病院に到着の後、麻酔チームのメンバーによって全身評価がなされるでしょう。 関節鏡検査は局所麻酔、区域麻酔、または全身麻酔の下で実行されます。 局所麻酔では、膝を麻酔し、区域麻酔(脊椎麻酔)では、腰から下を麻酔し、全身麻酔ではあなたを眠らせます。 麻酔科医は、どの麻酔方法があなたに最も良い方法かを決定するのを手助けしてくれるでしょう。 


もし、あなたが局所麻酔、または区域麻酔を受け、あなたが望むならば、テレビ画面で外科処置を見ることができるかもしれません。 

整形外科医はあなたの膝に小さな切開を2・3個するでしょう。 無菌の液が、膝関節を満たし、わずかでも濁ったものがあれば、すすぎ出すために使われ、膝のクリアな画像が得られるでしょう。 

整形外科医は、適切にあなたの問題を診断するために関節鏡を挿入し、 関節鏡を誘導するためにテレビイメージを使うでしょう。 外科治療が必要ならば、外科医は別の小さな切り込みを通してさまざまな小さな外科用器械(例えばはさみ、クランプ、電動化された削り器、またはレーザー)を使うことができます。 この部分の処置は通常45分から1時間半続きます。  

膝関節鏡検査で行う、共通の治療は以下のものを含みます: 

  • 断裂した半月板軟骨の除去または修復。 
  • 断裂した十字靱帯の再建。 
  • 関節軟骨の断裂した断片のトリミング 
  • 骨または軟骨のゆるんだ断片の除去。
  • 炎症を起こした滑液膜組織の除去。 

外科処置を終わる時、整形外科医はあなたの切り口を縫合したり、紙テープで閉じ、包帯でおおいます。 

あなたは回復室に移動するでしょう。通常、あなたは、1または2時間で家に帰る用意ができるでしょう。 あなたは、あなたを車で家に送るために、誰かを確保しておくべきです。 (訳者注:日本では、このような日帰り麻酔や手術はまだ少数です)  

自宅でのあなたの回復(訳者注:日本では、このような日帰り手術での自己管理はまだ一般的ではありません。日帰り手術は医療費削減にはなっても自己責任の大きいことが分かります) Your Recovery at Home

膝関節鏡検査からの回復は伝統的なオープンな切開による膝関節手術からの回復よりずっと速いものです。 それでも、あなたが帰宅した後、担当の整形外科医の指示に慎重に従うことは重要です。 あなたは、誰かに、その日の夕方あなたをチェックしてくれるように頼むべきです。 

腫脹  手術の後の最初の数日間は、足が腫れないよう、なるべく高くなるようにします。 整形外科医から薦められたように、腫れと苦痛を和らげるため、氷をあてます。


包帯部の管理  あなたは膝をカバーしている包帯をつけたまま病院を去ることになります。手術の翌日には包帯を外してさしつかえありません。 シャワーを浴びてもよいけれども、水を切り傷に向けるのは避けるべきです。 バスタブ(風呂桶)に浸らないこと。 あなたの切り傷は清潔にし、乾燥するようにしておくこと。   

担当の整形外科医は、手術の数日後に診察室であなたに会うことになるでしょう。あなたの進歩状況をチェックし、外科手術の所見を見直し、手術後の治療計画を開始するでしょう。 

荷重負荷  膝関節鏡検査の外科処置の後、ほとんどの場合、助けを借りなくても歩くことができます。でも、担当の整形外科医は、手術の後、ある一定期間、両松葉づえcrutches、片杖a cane、あるいは歩行器を使うようにアドバイスすることがあります。 あなたの不快感が静まり、膝の中に力を取り戻すにしたがい、徐々により多くの重量を足に掛けることができます。担当の整形外科医は、1週間たてば、あなたに車の運転をすることを許すでしょう。  

膝を強化するための運動 下肢や膝の筋肉を強化するために、外科処置後数週間、規則的に膝を動かすべきです。 もし担当の整形外科医が特定の運動を推奨するならば、理学療法士はあなたの運動プログラムについて手助けになるでしょう。 

医薬品  担当の整形外科医は、あなたの外科処置に続いて起こる感染を防止するために抗生物質を処方したり、不快感を和らげるために痛み止めを処方することができます。 

合併症  膝関節鏡処置後に可能性のある術後の問題は感染、血栓、および膝への血液の蓄積などです。 これらはまれに起こりますが、小さな問題で、処理可能です。


注意すべき徴候 Warning Signs

以下に記載されるものは、どれひとつでも経験したならば、直ちに担当の整形外科医に連絡を取りましょう: 

  • 熱。
  • 悪寒。.
  • 膝のまわりの持続的な暖かさまたは発赤。 
  • 持続的な、または増大する苦痛。 
  • 膝の中があきらかに腫れている。 
  • ふくらはぎの筋肉痛の増大 
  • 息切れ、または胸の痛み。 

膝関節鏡処置後の妥当な経過予想 

膝関節鏡は、多くの問題を処置するために使うことができますが、回復後もある程度は活動制限が残ることがあります。 あなたの手術の結果は、しばしばあなたの膝の中で発見された損傷または損害の程度によって決定されます。 例えば、ジョギングによって膝を損い、膝の荷重部分のスムーズな関節のクッションが完全に摩耗していたならば、完全な回復は可能でないかもしれません。 あなたは、低インパクトな運動フォームの選択肢を見つけるようにアドバイスされるかも知れません。 大学間対抗や、またはプロフェッショナルなスポーツ選手は、しばしば週末レクリエーションスポーツ選手と同じ損傷を被りますが、回復の潜在能力は、膝周囲の筋肉の過大な発達のため、高いかもしれません。 身体運動訓練とリハビリテーションは、あなたの最終的な結果に、重要な役割を果たすでしょう。 通常の理学療法プログラムでも、あなたの最終結果に何かよい影響を及ぼすでしょう。  

激しい身体活動への復帰は、担当の整形外科医の指導のもとでのみ、なされるべきです。 

6から8週間経てば、明らかな荷重インパクトが関与していない限り、以前の身体活動のほとんどに従事することができると予想できます。 ねじる動作は、より長い時間、避ける必要があるでしょう。

もし、あなたの仕事が建築労働者などの重労働に関係しているならば、座業の仕事よりも、より多くの時間を、仕事に戻るために必要であると要求してさしつかえありません。




あなたを担当する整形外科医は、「骨、関節・ジョイント、靭帯、腱、筋肉や神経などを含んだ筋骨格システム」の診断法と、保存的(非手術的)療法や外科的(手術的)療法などの治療に関し、幅広いトレーニングを受けた医師です。

翻訳 Sep. 2005

AAOSの原文(Knee Arthroscopy )

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a. The Japanese translation of this material has been produced with permission from the American Academy of Orthopaedic Surgeons (AAOS).
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